ふと思い立って、一人カラオケに行ってきた。
48歳にして、人生初の「ヒトカラ」だ。
きっかけは些細なことだった。会社の飲み会の二次会で、いつものようにカラオケに行ったとき。若手が盛り上がる中、俺は曲を入れるタイミングを失って、結局1曲も歌わずに終わった。
帰り道、なんとなくモヤモヤしていた
歌いたくなかったわけじゃない
歌うタイミングがなかったわけでもない
ただ、気を遣っているうちに
歌う気力がなくなっていた
「自分の歌いたい曲を
誰にも気を遣わずに歌いたい」
そう思った
それで次の週末、思い切って一人でカラオケ店のドアを開けた。
なぜ一人で行こうと思ったのか
正直に言うと…いや、これがな、会社のカラオケが年々しんどくなってきていた。
40代のカラオケあるある:
・若手の知らない曲は歌えない
・かといって自分の世代の曲は
場が静まる
・上司より目立つ歌もダメ
・盛り上げ役を期待される
・マイクを回す気配りも必要
→ 楽しむ場のはずが
完全に「仕事」になっていた
歌うことそのものは、嫌いじゃない。むしろ昔は好きだった。
でも、いつの間にかカラオケが「自分が楽しむ場所」じゃなくて「空気を読む場所」になっていた。
だったら、一人で行けばいいじゃないか。誰にも気を遣わず、好きな曲を、好きなだけ。
そう気づくのに48年かかった。
勇気がいった、入店の瞬間
とはいえ、一人でカラオケ店に入るのは、想像以上に勇気がいった。
受付の前で一瞬ためらった
「お一人様ですか?」
と聞かれたらどうしよう
変な目で見られないか
「この人、友達いないのかな」
と思われないか
→ 完全に自意識過剰だった
実際に受付で「一人です」と言ったら、店員は何の表情も変えず「フリータイムでよろしいですか?」と返してきた。
拍子抜けした
そりゃそうだ
一人カラオケなんて
今どき珍しくもなんともない
ビビっていたのは
俺だけだった
部屋番号を渡されて、一人で薄暗い廊下を歩く。それぞれの部屋から、くぐもった歌声が漏れてくる。
自分の部屋のドアを開けた。
一人になって、最初に思ったこと
誰もいない部屋。ソファに一人。マイクが二本。
最初の感想:
「…で、何を歌えばいいんだ?」
いざ一人になると
逆に何も思い浮かばない
会社では「歌うタイミング」ばかり
気にしていたから
「歌いたい曲」が分からなくなっていた
とりあえずデンモクをいじって、若い頃に好きだった曲を探した。
90年代の、あの頃よく聴いていたバンドの曲。青春時代のヒット曲。通学路で口ずさんでいた曲。
曲名を見ているだけで
当時の記憶が蘇ってきた
・初めて買ったCD
・好きだった子と行ったカラオケ
・友達と朝までオールした夜
・ガラケーの着メロにしていた曲
→ 30年前の自分が
そこにいた
最初の1曲を入れた。イントロが流れ始める。
誰もいない部屋で、俺は小さくマイクを握った。
気がついたら、本気で歌っていた
最初は遠慮がちだった。
1曲目:
声が小さい
周りを気にしている
「下手だと思われないか」
…誰も聞いてないのに
2曲目:
少し声が出てきた
3曲目あたりから:
完全にスイッチが入った
誰も聞いていない。誰の目もない。音程を外しても、声が裏返っても、誰も困らない。
気がついたら
立ち上がって歌っていた
高い声も思い切り出した
ハモりも一人でやった
間奏では謎のエアギターまでやった
(ギター習ってるからな)
→ 48歳のオッサンが
一人で全力で歌っている
冷静に考えたら異様な光景だが
最高に楽しかった
会社のカラオケでは絶対に歌わない、自分の世代のど真ん中の曲を、片っ端から歌った。
誰に気兼ねすることもなく。
90分後、なんだかスッキリしていた
あっという間に90分が過ぎた。
部屋を出るとき
妙にスッキリしていた
・体が軽い
・頭が空っぽになっている
・なんか、笑えてくる
ジムで汗を流した後に
似ているかもしれない
声を出すって
こんなにストレス発散に
なるものだったのか
帰り道、ふと気づいた。
俺はずっと、いろんな場面で「空気を読んで」生きてきた。会社で、家で、飲み会で、カラオケで。
それは大人として必要なことだ。でも、たまには誰にも気を遣わず、自分のためだけの時間を持っていいんじゃないか。
一人カラオケは
ただのストレス発散じゃなかった
「自分の好きなことを
自分のためだけにやる」
その感覚を
思い出させてくれた
48歳
気を遣ってばかりの毎日に
こういう時間は必要だ
また来週も行こうと思う。今度はもっと攻めた選曲で。
誰も聞いてないんだから、何を歌ったっていい。
それが、一人カラオケの一番いいところだ。


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