「コンパスさん、退職金って何に使うか決めてます?」
取引先の金融関係の会社に勤める田中さん(当時62歳)に、そう聞かれたのは俺が45歳の頃だった。
田中さんは長年、資産運用の仕事に携わってきたベテランだ。定年を目前に控え、後輩たちに退職金の使い方を教えているという。
「退職金で失敗する人、めちゃくちゃ多いんですよ」
その一言が気になって、田中さんにじっくり話を聞かせてもらった。
退職金は「人生最大の臨時収入」
田中さんがまず言ったのはこれだった。
「退職金って、多くの人にとって
人生で一番大きな臨時収入なんです。
でもだからこそ
判断を間違える人が多い。
普段の給料とは桁が違うお金が
一度に入ってくるから
感覚がおかしくなるんですよ」
確かに。数百万〜数千万円が一度に口座に入ってくる経験なんて、普通は一生に一度だ。
退職金でやってはいけないこと【NGな使い方】
田中さんが「これだけは絶対やめてほしい」と言っていたことを正直に書く。
NG①:退職金が入った直後に大きな買い物をする
田中さんの言葉:
「退職金が入った途端に
高級車を買ったり
豪華な旅行に行く人がいます。
気持ちはわかりますが
老後は30年以上あります。
最初に使いすぎると
後が怖いですよ」
退職金は「老後30年間の生活費の一部」
という意識を持つことが大切だ。
NG②:銀行の言いなりになる
田中さんの言葉:
「退職金が入ると
銀行から『運用しませんか』と
営業電話が来ます。
窓口に行くと
手数料の高い投資信託を
勧められることが多い。
退職金専用の定期預金も
最初の数ヶ月だけ金利が高くて
満期後は普通の商品に
切り替えさせられることが多いです」
銀行は「お客様の味方」ではなく
「自社の利益を追求する会社」だと
理解しておく必要がある。
NG③:一括で全額投資する
田中さんの言葉:
「退職金が入って
『よし、全額投資しよう』と
考える人がいます。
でも投資を始めたタイミングが
悪ければ大きく損をする。
特に退職直後は
精神的に不安定な時期。
焦って大きな決断をしないことが大切です」
NG④:詐欺まがいの高利回り商品に手を出す
田中さんの言葉:
「退職金が入ったばかりの人を
狙った詐欺が本当に多い。
『元本保証で年利10%』
『絶対に損しない』
こういう言葉が出てきたら
100%詐欺だと思ってください。
世の中に絶対はありません」
NG⑤:住宅ローンの一括返済を急ぐ
田中さんの言葉:
「住宅ローンが残っていると
退職金で一括返済したくなりますよね。
でも今の低金利時代では
必ずしも得ではない場合があります。
手元の現金がなくなるリスクより
ローンを残しておく方が
安全なケースもあるんです」
退職金の正しい使い方
では実際にどう使えばいいのか。田中さんに教えてもらった正しい使い方をまとめる。
① まず3ヶ月は何もしない
田中さんの言葉:
「退職金が入ったら
最初の3ヶ月は
普通預金に置いておくだけでいい。
焦って動く必要はない。
まず気持ちを落ち着かせることが
最優先です」
② 生活防衛資金を確保する
退職金の一部を
すぐに使える口座に置いておく
目安:生活費の2年分
→ 月25万円の場合:600万円
この分は絶対に投資に回さない
③ 残りを長期・分散・積立で運用する
田中さんのおすすめ:
・NISAを活用する
・インデックスファンドに投資する
・一括投資より積立投資を選ぶ
・焦らず長期で運用する
④ 専門家に相談する
田中さんの言葉:
「銀行ではなく
中立的なFP(ファイナンシャルプランナー)
に相談することをおすすめします。
無料で相談できるFPもいますよ」
田中さんの最後の言葉
話の最後に田中さんが言った言葉が忘れられない。
「退職金は『これまでの人生の報酬』ではなく『これからの人生の元手』だと思ってください。大切に・ゆっくり・賢く使うことが一番です」
45歳の俺には少し早い話だったが、定年まであと17年。今から知っておいて損はないと思った。
まとめ
- 退職金は人生最大の臨時収入だからこそ判断を間違えやすい
- 入金直後の大きな買い物・銀行の言いなり・全額一括投資はNG
- 詐欺まがいの高利回り商品には絶対に手を出さない
- まず3ヶ月は何もしない・生活防衛資金を確保する
- 残りはNISAでインデックスファンドに長期・積立で運用する
- 銀行ではなく中立的なFPに相談する
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